HISで体験できるマラマハワイ② 「ゲンキ・ アラワイ・プロジェクト」

アラモアナとワイキキの間を行き来する際、皆さまも一度は目にしているであろうアラワイ運河。かつては人が泳げるくらいきれいな水が流れていたのをご存知でしょうか?
そして今、まさにあの頃のようなきれいな運河を取り戻そうと、地元団体が企業や教育機関を巻き込んで動き始めているのです。ハワイで展開されている注目のソーシャルグッド(社会に対して良いインパクトを与える活動)をご紹介します。
アラワイとはハワイ語で「水路」を意味します。アラワイ運河はその名の通り山から海へと水を運び、アラワイ・ハーバーを通ってマジックアイランドのダイヤモンドヘッド側の海に注いでいます。そのため、2006年の豪雨で下水管が破裂した際は、大量の下水が運河に流入、運河に溜まった未処理の下水が海に流出し、高濃度のバクテリアが発生して、ワイキキやアラモアナビーチが遊泳禁止になったこともありました。
そこで、自分たちが汚してしまった運河を次世代のためにも自分たちできれいにしようと声を上げ、動き始めたのが非営利団体「ゲンキ・アラワイ・プロジェクト」。2019年に発足した同プロジェクトでは、沖縄県の琉球大学で開発された「EM(有用微生物群)」という善玉菌の集合体を使用して河川や自然を浄化し、「7年でアラワイ運河を泳げる水質にしよう!」という目標を掲げています。これまでに、地元の学校の科学教育に採用され、主にアラワイ運河付近の小学校とそのEMを入れた泥団子「ゲンキボール」を作って運河に投入する活動を展開しています。
「ゲンキボール」に使用される「EM」とは、琉球大学の比嘉 照夫名誉教授によって発見された技術です。長年農薬によって悩まされていた比嘉教授が、作物栽培のための微生物混合を研究する15年に及ぶ歳月の中で、偶然に発見されたのだとか。大阪の道頓堀川もEMで浄化されたというから、その効果は既に折り紙つき。
2022年4月には社会奉仕団体「ロータリークラブ」と5,000個のゲンキボールを作りアラワイ運河に投入したところ、2カ月間で運河のヘドロを15センチ以上減らすことができたとのこと。
ハワイの伝統文化と美しい自然環境を守っていくための思いやりの心「マラマ」を体現したこの「ゲンキ・アラワイ・プロジェクト」。
楽しくハワイに貢献できるレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)を体験してみませんか。