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2023.01.13
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半歩先のおしゃれを取り入れたリアルクローズを提案する人気スタイリスト・亀恭子さんをゲストに迎え、3回にわたってファッションの「換え活」について伺います。「トレンドに挑戦する勇気がない」「自分に似合うコーディネートがわからない」という人も、亀さんのアドバイスを基に、今までとちょっと違う着こなしにチャレンジしてみませんか? (全3回の3回目/に続く

有名モデルから絶大な人気を集めるスタイリスト・亀恭子さんに教わる、 オンラインショッピングの「換え活」を成功させるコツとは?

3回目のテーマは「オンラインショッピングへの換え活」です。忙しい日々の暮らしの中でも外出せずに欲しい服が買える、とリアルショップに加えてオンラインショップを使う人が増えています。その一方で、試着ができないため「実際の着心地や、自分が着た時のサイズ感に不安がある」という人も。失敗なく買い物ができる&似合う服が見つかる、オンラインショッピングの「換え活」のコツを亀さんにお聞きしました。

オンラインショップで失敗しないコツは「失敗しがちなアイテム」を知ること

――亀さんは、オンラインショッピングをよく利用されますか?

亀恭子さん(以下敬称略):実は、買い物に関してはかなり慎重派です。
例えば靴。これはサイズで失敗しやすい代表アイテムなので、私はなるべく店頭で見て実際に履いてみて、でもそのときは決断しなかった、そういったものを後からオンラインで買っています。靴に関しては、自分で持っているブランドでも、モデルやデザインによってサイズに微差があるので特に慎重になります。

また、一見失敗がなさそうに見えるニットものも、選び方に気を付けたいアイテムです。質感や色味が画面で見たものと実際に届くもののイメージが違っていた、という経験がありました。返品するのも手間なので結局そのまま着ましたが、それ以来、ニットのように質感・色味が重要なアイテムも、慎重に買うようになりました。
イメージと違っていたというショックや無駄な出費を経て、着ない服を増やさないためにも、特に微妙な色味のものは慎重になった方がいい、というのが自分の考え方です。

――お店で試着しておいてネットで買うのは、慎重派に向いていますね。

亀恭子:色物のニットや、サイズ選びに慎重になる靴以外、例えばシャツ、ブラウス、アウターはあまり失敗がないかなと思います。私は自宅で家事や仕事の合間に、ちょっとした羽織物やストールなどをネットで買ったりします。

――亀さんにとってのオンラインショッピングのメリットは、「自分の好きなタイミングで買えること」、「アイテムを決めての目的買いができること」という感じですか?

亀恭子:そうですね。あとはやはり圧倒的な品揃えの多さですね。数千ものブランドを取り扱うファッションオンラインサイトがある一方、リアル店舗だと、品揃えがいいといわれる百貨店でも入っているブランドは数百ほど。また、3階と4階のショップアイテムを同時に見比べることはできません。例えば、白シャツが欲しいとき、家に居ながらひとつの画面で、異なるブランドの白シャツを比較しながら買えるのは、大きな利点だと思います。

オンラインショッピングで挑戦しやすい「トレンドアイテム」は?

――試着できない分、サイズ問題で悩みがちなオンラインショッピングですが、最近トレンドのユニセックスアイテムについて、亀さんはどんな考えをお持ちですか?

亀恭子:丈だけじゃなく、袖もたっぷりしているオーバーサイズアイテムは、ここ数年のトレンドですよね。試着できなくても、オーバーサイズを楽しむユニセックスアイテムなら、失敗も少ないし、挑戦しやすい。オンラインショッピングでの購入に向いているアイテムと言えそうですね。

カットソーやベーシックなニットなどは、私も意識的にメンズのものを選ぶことがあります。肩幅が大きめで少しショルダーがドロップしても、あえてゆるっと着たいときに便利だと思います。
コーディネートとしては、大きめのシルエットに、さらにゆるっとしたボトムを合わせたリラックススタイルが、少し前までの流行りでしたが、それが最近また移り変わってきた。ウエストにインして、ベルトをしたり、トップスがゆったりならボトムは少しスマートなシルエットのものにしたりと、メリハリ感のあるコーデに変化してきています。
また、ユニセックスアイテムと合わせる場合、ネックが首にぴったり沿う、コンパクトなボトルネックのカットソーを重ねるのもお勧めです。1〜2サイズ上の大きなトップスは、いろんな着こなしが楽しめるので、かなり重宝すると思います。

 

――ちなみにご夫婦やパートナーで服をシェアして楽しんでいる人も増えているそうですが・・・・・・亀さんはご夫婦で愛用しているアイテムなどがありますか?

亀恭子:私たちの場合は、兼用で着ることはめったにないですね。理由は、主人の身長が高くスポーツマン体型なので、彼のものを私は借りられるけれど、彼は私のものを着られないので。一度だけ、私のビッグサイズのTシャツを間違えて着たことがあったぐらい(笑)。私はたまに、主人のニットのカーディガンを借りて、ゆったりシルエットのスタイリングを楽しむことがあります。

ネット上のファッション診断を活用して、オンラインショッピングでも自分らしいコーディネートに換え活

――オンラインショッピングの「換え活」で、「自分らしいコーディネート」というものを叶えたいと考える場合、選び方のコツはありますか?

亀恭子:これは難しい質問ですね。
選ぶヒントとしては、まず自分がどういったタイプなのかを知ることが大事かもしれません。それには、「骨格診断」や「パーソナルカラー診断」など、ネットで簡単に調べることができる自分のタイプを基に考えてみるのもいいのかな、と思います。
こうしたものも、ひと昔であれば結構な金額をかけて調べてもらいましたが、今は無料でチェックできるサイトもあって、ハードルが下がっています。自分に似合うものの基準を知るうえで、そういう無料診断を試してみるのもひとつの方法かもしれません。

それから、私がよく参考にしているのは、ブランドサイトにアップされている、ショップスタッフのコーデスナップです。その人の身長や着用サイズも明記されていて、着用感がリアルにわかる。かなり役に立っています。
できれば、静止画だけじゃなくて、360度ぐるっと回ったらシルエット的にどんな感じかスタッフコーデの動画を加えてもらえると、よりわかりやすくなりますし、色いろな角度からチェックできるので、安心してお買い物ができると思います。

また、当然のことですが、いいなと思ったアイテムは、着用画像はもちろん、サイトに表記されているサイズガイドも、ぬかりなくチェックします。サイズが合わないと、お直しに出すのも手間と時間がかかってしまいますから、そこはマストです。

――自分のファッションタイプを無料診断したり、ブランドサイトの最旬スタイリングをチェックしたり。そうしたオンラインのよさをフル活用して情報を得た上で、雑誌を眺める感覚でショッピングサイトを見ると、「あ、これ私に似合いそう!」というイメージが掴め、感覚的にわかってくるかもしれませんね。

亀恭子:それこそオンラインショッピングの楽しみ方のひとつだと思います。私の場合は、「これを買った人はこんなものも買っています」なんてレコメンドが出てくると、もれなくそちらもチェックしちゃう(笑)。そうした関連情報などを見るだけでも楽しめますし、コーヒーブレイク中に自宅でお買い物ができるのも、この時代にオンラインショッピングを活用すべきいい点かなと思います。

――最後に、亀さんご自身が「自分らしいコーディネート」を考えるときの基準を聞かせていただけますか。

亀恭子:理想論を言うと、着心地を含め、カラダも気分も心地よくいられることを大事にしたいので、自分の得意ではない洋服に関しては、あまり無理してチャレンジしない派です。たとえば流行り出したばかりのアイテムに飛びつくと、手持ちの服とのバランスがとりづらく、1回も着ないでクローゼットに眠ったままということも起きがちです。飛びつく前に1回立ち止まって「自分にしっくりくるか?」という感覚を大切にしてほしいと思います。

後は、自分にとって一番身近な人の評価を素直に聞くのもおすすめです。夫やパートナー、辛口なことも言ってくれる友達に「今日は、らしくないね」「その色珍しくない?」と言われると、一瞬「え?」と思うけれど、その意見が案外正しかったりするものです。信頼できる人から的確なアドバイスをもらうことも、自分らしいコーディネートの近道になるかもしれません。


まとめ

亀さんのオンラインショッピング「換え活法」をお聞きしていると、「買わないアイテム」を決めたり、流行り始めたばかりのアイテムからは一定の距離を置いたり、またサイズも慎重に細かくチェックするなど、オンラインの時短メリットを活かしながらも、「欲しいものを安全・確実に、無駄なく」買っている印象です。
自分に似合うコーディネートに辿り着くためには、まず客観的に自分を知ることが大事ですし、新しいものへの好奇心やちょっとしたチャレンジが必要になりますが、自分の周りの信頼できる人にも協力してもらって、いつもと違う自分を発見できたら素敵ですね。
おしゃれ迷子から解放されて、自分らしい着こなしを叶える、オンラインを利用したファッションの「換え活」。亀さんのお話を参考に、みなさんも始めてみてはいかがでしょうか。


■プロフィール
亀 恭子(かめ きょうこ)
約3年間のOL生活を経て、2001年、女性ファッション誌「CanCam」でスタイリストデビュー。ベーシックなスタイルにトレンドを上手に効かせた女性らしいスタイリングが亀流。ファッション誌などで数多くの有名モデルスタイリングを手がけ、モデルからも指名されるなど、彼女のセンスを信頼している著名人も多い。近年ではアパレルブランドとのコラボレーションやパーソナルスタイリングでも活動。他トークショー、テレビ、広告出演やラジオなど、自身がメディアでも活躍中。

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