
人気スタイリスト・亀恭子さんに教わる「換え活」 「時短コーデ」のヒント満載!
「毎朝、着る服選びに時間がかかってしまう」「時間をかけても思うようにならない」というお悩みを抱える人は多いのでは。そこで、今回は、忙しい毎日でも、時間をかけずに良い感じに仕上がる「時短コーデ」への「換え活」、その服選びのコツを亀さんに伺いました。さらに、最近話題になっている「コーディネートを丸ごと買える・レンタルできるサービス」も時短コーデに役立ちそうですが、こうしたサービスの活用方法もお聞きします。
シーンレスに使えるアイテムで瞬時に、きちんと感を演出
――早速ですが、亀さんはいつもどんな時短コーデをしているのでしょうか?
亀恭子さん(以下敬称略):時短ですぐに思いつくのは、リモート会議で「顔回りが華やかになるブラウス」。時短でおしゃれが決まるという意味では便利なアイテムだと思います。
私の場合は、朝、子どもを保育園に送ってそのまま仕事へ、というときは、ジャケットを1枚持って出かけます。カジュアルなカットソーにパンツスタイルで、子どもを預けたあとはジャケットをサッと羽織る。母の役割から仕事モードにスムーズにブリッジできる、“シーンレス”に着られる服選びを心がけています。

頼れるアイテムとしては他に、シルク風のゆるっと着られるシャツもいいですね。ラフに着たあと、アクセサリーだけ付け足して打ち合わせに行く。質感のあるシャツなら、相手に失礼がなく、しかも気合いを入れて着た風でもなくて、こなれ感が出ると思います。

私は、おしゃれにはTPO(いつ・どこで・何を)に「P(Person=誰と)」を加えたTPPOが大事だと思っています。TPPOに合わせて、プラス1アイテムできちんと感を演出できる服選びも、結果的に時短になるのではないでしょうか。
――シーンごとの「換え活」ですね。ジャケット1枚、アクセサリーひとつでONモードにスイッチが入るんですね。そんな「換え活」なら、今日から実践できそうです! ところで、亀さんがコーディネートを決めるとき、軸にしているアイテムはありますか?
亀恭子:だいたいトップスですね。第一印象として核になるトップスを、気分に合わせて選ぶ。そうすると髪型が決まり、リレー式にボトムス、靴が決まっていきます。冬ならジャケットをメインにして決めることが多いです。
服選びで迷子になったらプロにお願いしてみる
――「時短」というキーワードで考えるのは、「服選びにかける時間」です。年齢や体型、ライフスタイルの変化によって、自分に似合う服が選べなくなったし、服を決めるのに時間がかかるようになった、という話をよく聞きます。
亀恭子:そうですね。スタイリストの仕事を始めて20年ぐらいですが、服選びで迷子になっている人は、若い方でも多くいらっしゃいます。
「トレンドの取り入れ方がわからない」「この色は絶対無理だと思う」なんて、苦手意識を固定してしまっている人もいますよね。そういう人は、思い切ってパーソナルスタイリストにお願いしてみるのもありです。トレンドのお洋服を着る、素敵なきっかけになると思いますよ。
パーソナルコーディネートというと、富裕層向けのサービスだと思われそうですが、それは昔の話。今は、コーディネートを丸ごと提案してくれるサービスもあって、救世主的存在ではないでしょうか。
――亀さんも、お仕事でパーソナルスタイリストをされたご経験があるとか。最適な提案をするために気を付けていることは何ですか?
亀恭子:まず、その方の好きなブランド、よく買い物をするブランドを聞いて、好みのテイストを理解します。あとはご本人にお会いして、ヘアスタイルやメイク、顔回りの雰囲気を見ます。また、体型の悩みを持っていれば、どうしてもゆずれないポイントを伺って、総合的に、程良くトレンドを効かせたコーディネートというものをご提案しています。
――依頼者の反応は?「まさかこの色が自分に似合うとは思わなかった!」とか?
亀恭子:大体、そういう流れにはなりますね(笑)。
ただ、言い方を選ばずに言うと、そのときだけ魔法をかけても、あとでまた服選びの迷子になってしまったら同じことの繰り返し。そうなりがちなので、例えば「普段はピンクやオレンジは着ない」という方なら、「でも、今年はピンクがトレンド。こういうデザインのボトムなら、これぐらいの面積で取り入れると似合いますよ」と、なるべく具体的にお伝えするようにしています。そのときのアドバイスをご自身で広げていってもらえるように、着こなしや選び方を細かくアドバイスしているつもりです。
――パーソナルコーディネートをお願いして「時短コーデへの換え活」を追求することよって、自信を持って外に着て行けるスタメン服を自分でチョイスできるようになれば、毎日のお出かけや人に会うことが楽しくなりそうです。

これからニーズが増えそうなコーディネート丸ごとサービス
――「プロにお願いするのはちょっと敷居が高い」という人には、無料スタイル診断が受けられ、プロのスタイリストが選んだコーディネートが丸ごと届くサービス、というものを利用するのはどうでしょう?
亀恭子:いいと思います。また、そういうニーズは今後、より増えていくと思ってます。
働き盛りの30代40代の方は、「会う相手のことを考えて、何を着ていくのがベストなのか」が服選びのポイントになる。その場合、女性の場合はただシンプルなスーツじゃ物足りない。「ちょっと華やかさが欲しい。でも、仕事の場だし……どんなバランスでコーディネートを考えればいいのかわからない」、そう考える人の場合は、「丸ごとサービス」の利用で、服選びの時短とともに、ストレスも減ると思います。
また、ワーキングマザーにとっても、便利なサービスだと思います。子育てに追われ、責任ある仕事もこなすママたちは「時短」が基本。コーディネートを丸ごと提案してくれたり、パーソナルに寄り添ってくれるサービスは、画期的ではないでしょうか。
私も3人の子どもを持つワーママなので、自分の服選びがいつも最後。仕事柄、選ぶのにそれほど時間はかかりませんが、手抜き感が否めない日もあります(笑)。
――プロが選んだ、自分に合う最新アイテムを着て、気後れせずに会議やプレゼンに臨むことで、相手から見える印象も変わりますし、自分自身も“いい顔”でその場に集中できそうです。それが一番の「換え活」の効果かもしれないですね。
亀恭子:そうですね。今後、コーディネートを丸ごと購入できるサービスや月額でレンタルできるファッションサブスクがアップデートし、周囲から褒められるコーデを、自分で組み合わせられるような流れができたら、まさに理想的ですね。
まとめ
今すぐ始められるのは、亀さんも採り入れている、ジャケットやシャツなどひとつのアイテムを中心に展開させる時短コーデへの「換え活」。タイムパフォーマンスのアップに加えて、自分に自信が持てるようになります。「時間が足りない」と嘆く人や「おしゃれがマンネリで、冒険していないな」と感じる人も、新しい自分に出会うきっかけにもなるかもしれません。時間がないことを逆手にとって、おしゃれな「時短コーデ」にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
次回は、今や大人気のオンラインショッピングがテーマです。「色やサイズ選びが難しくて、オンラインで服を買うと失敗しがち」という人に、試着しなくても自分にぴったりのアイテムを上手に選ぶコツを、亀さんにレクチャーしていただきます。
■プロフィール
亀 恭子(かめ きょうこ)
約3年間のOL生活を経て、2001年、女性ファッション誌「CanCam」でスタイリストデビュー。ベーシックなスタイルにトレンドを上手に効かせた女性らしいスタイリングが亀流。ファッション誌などで数多くの有名モデルスタイリングを手がけ、モデルからも指名されるなど、彼女のセンスを信頼している著名人も多い。近年ではアパレルブランドとのコラボレーションやパーソナルスタイリングでも活動。他トークショー、テレビ、広告出演やラジオなど、自身がメディアでも活躍中。