暮らす土地をひとつに決めない「多拠点生活」のススメ

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2022.11.04
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住み慣れた場所を離れるのではなく、そこに住み続けながら別の拠点を持つ「二拠点居住」や「多拠点生活」といった、いわば「ネオ・ノマド」的な、住まいの「換え活」が話題を集めています。こうした「換え活」のベースにあるものは、ワークライフバランスの多様化。仕事以外も大事にする働き方が浸透し、都市部で働く価値が変化してきたことが要因です。

平日は都市部で働き、週末だけ田舎暮らしをする「デュアルライフ(二拠点生活)」を積極的に楽しむ「デュアラー」と呼ばれる人たちも出現しています。こうした自由な暮らし方を誰もが選択できるようになった今、一歩を踏み出してみることで、あらためて自分にとって大切なものは何か、再確認してみてはいかがでしょう。

家族との時間を大切にしたい子育て世代を支援するための地方自治体の取り組みや、行政のサポートも進んでいます。家族で二拠点暮らしの場合、立ち塞がる大きな壁のひとつは、子どもの学校の問題ですが、そんな悩みに応えてくれるのが、子どもがひとつの地域・学校に捉われない制度「デュアルスクール」(徳島県)です。地方と都市の学校の行き来を容易にし、双方で教育を受けられる新しい学校のカタチと言えます。住民票を移動させずに「転出」「転入」が可能で、「児童手当」などの手続きも不要です。お試し移住をしてみたいという家族にもお勧めです。

二拠点とひと言でいってもいろいろな形があります。自分たちにとっての大切なことは何か、をまず考えて、具体的にプランしてみることが大事。例えば、妻の実家との「二拠点暮らし」を始めたというご家族(夫婦と2歳の子ども)の場合だと、週に2〜3日を、実家で過ごして祖父母の介護手伝いを行ない、子供の面倒も母に手助けしてもらって、他の日は変わらず都内で暮らす。こうして、「互いに助け合う二拠点暮らし」を実践しています。

一方、若い層を中心に着実に増えているのが「アドレスホッパー」と呼ばれる多拠点生活者です。全国あちこちを数ヵ月ごとに移動し、その地で地元の人や旅人たちとの縁を結ぶなど、豊かなネットワークをベースに新しい生き方を実践しています。

このような暮らし方にエールを送るかのように、「全国に住み放題」ができる、住居のサブスクも始まっています。例えば、「ADDress」というサービスでは、日本各地にリノベーションを施した家を230ヵ所以上持っているため、自然、そして歴史が豊かな地方暮らしがすぐに実現可能です。

家族で多拠点暮らしを考えるなら、思い切って期間限定での「キャンピングカー暮らし」という選択もあります。住まいを持たないキャンピングカー生活は、コスパだけでなく、海が見える場所に止めればオーシャンビューのホテルに早変わりするなど、自由で贅沢な体験も可能になり、かけがえのない家族の思い出を作ることもできます。

住まいの「換え活」をして得られるのは、家族や趣味の時間の充実だけではありません。田舎暮らしによって新鮮な魚や野菜が低価格で手に入ったり、都会暮らしでは知りえない多種多様な人たちとのつながりを持つことができたり、さらには家と仕事場の往復という「無駄」を変えるきっかけにもなります。

住まいを1ヵ所に縛らないことで、自分自身もより解放的に換わっていくはず。「ネオ・ノマド」な暮らしを実現するプラットフォームも整った今、「型にはまった住み方」から「複数拠点の自由な暮らし」への「換え活」で、新たなつながりと自由な生活を手に入れてみませんか?

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